素直になれない夏の終わり

「おかかと昆布とあるから、一種類ずつね」


夏歩がベッドとテーブルの間の定位置に腰を下ろすと、既にその向かい側に座っていた津田が皿の上を指差して説明する。


「ちょっとお腹空いてるくらいの方がお弁当美味しく食べられるかと思って、軽めにしたんだ。決して手抜きじゃないからね、あえてだから」

「……誰も手抜きだなんて言ってないでしょ」

「言いたげな顔してたから」


被害妄想、と呟いて、夏歩はおにぎりに手を伸ばす。

津田に鬱陶しく視線で訴えられるより先に「いただきます」と口にして、夏歩は綺麗に握られた三角の頂点にかぶりついた。

コンビニおにぎりのパリパリした海苔も好きだけれど、巻かれてから時間が経ち、ご飯にしっとりと馴染んだ海苔も嫌いではない。

歯を当てるとほろっと崩れたご飯の中からは、以前お弁当に入っていたのと同じ、醤油で味付けされたおかかが顔を出した。

手に持っても形は崩れないけれど、歯を当てるとほろっと崩れる。その硬すぎず柔らかすぎない絶妙な握り加減が大変好ましい。
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