素直になれない夏の終わり

それはまた鬱陶しいとは、思っても口には出さない。もしかしたら顔には多少出たかもしれないけれど。


「よし、じゃあなっちゃんのテンションをぶち上げる為に、行く途中でココア買ってあげる!」

「いや別に、ココアなら家で飲んでか――あっ……」

「ん?」


そう言えば、最近コンビニで“期間限定マシュマロ入りココア”なるものが発売されたとの情報を美織から得ていたことを、夏歩は不意に思い出した。

なに?と不思議そうに首を傾げる津田に「……なんでもない」と返して、夏歩は二つ目のおにぎりに手を伸ばす。しばらくもそもそと齧っていると


「結局ココアは家で飲むの?それとも外で?」


津田が確認するように問いかける。
ココアで簡単につれる奴だと思われるのは甚だ心外だが、期間限定のココアは捨てがたい。

迷った末に夏歩は「外……」と呟くようにして答えた。
上機嫌にヘラっと笑った津田の顔は、絶対に見ないようにしながら。




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