素直になれない夏の終わり
「期間限定マシュマロ入り……ああなるほど、あれがいいの?」
夏歩としては、あれじゃなきゃ嫌だくらいの気持ちなのだが、それをそのまま言うとまるで駄々をこねているようなので、「……せっかくだし」と返すに留めた。
そっか、わかった。と返事があったので夏歩が掴んでいた上着を離すと、津田はホットのドリンクコーナーに向かってそこからコーヒーのペットボトルを一本手に取り、レジに並んで夏歩が所望した期間限定のココアを注文した。
ありがとうございましたーと店員に見送られてコンビニを出た時、夏歩の手にはお目当ての期間限定ココアが、そして津田の手首にぶら下がった袋にはホットのコーヒーが入っていて、更に手にはフライドポテト。
「……朝ご飯食べたばっかりでしょ」
「だって美味しそうだったから。それに店員さん“揚げたてですよー、ご一緒にいかがですかー”って言うんだもん。そりゃあ買っちゃうでしょ」
まんまと店員の戦略に乗せられた津田だが、本人が満足ならばこれ以上何を言ってもと、夏歩は視線を手元のココアに移す。
普段はホットの飲み物を買うと、口のところが小さく空いた蓋がついてくるのだが、期間限定のココアはマシュマロ入りなので蓋はついてこず、代わりにプラスチックの小さなスプーンがついていた。