素直になれない夏の終わり
「あんたね、どれだけ飲ませてるのよ」
呆れたようなため息と共に聞こえたその声に津田が顔を上げると、自分を見下ろす美織と目が合った。
「飲ませてないよ。むしろ、止めたんだよ。でもほら、なっちゃんが俺の言うこと素直に聞くわけないでしょ?」
全く……と美織はため息交じりに呟く。
「それで、一体どれだけ飲んだの」
「レモンサワーとカンパリ、モスコミュールは一口だけ、ソルティドッグとカルーアは半分いかないくらいかな。残ったのは、俺がこうして処理してるとこ」
もう一度、美織は「全く……」とため息交じりに呟いた。
「夏歩が弱いの知ってるんだから、もっと真剣に止めなさいよね」
「止めたよ。でも聞いてくれないんだもん」
「へー、そう。じゃあ、段々と酔っていく夏歩を見ても、可愛いなーとは微塵も思わなかったのね」
「…………」
黙り込んでそおっと視線を外した津田に、美織は深々とため息をつくと、テーブルにぐでっと上半身を預けて潰れている夏歩に向き直り、その横に膝をついた。
「夏歩、大丈夫?お水貰ってこようか」