素直になれない夏の終わり

これまで通り過ぎてきた駅のほとんどが無人駅だったけれど、津田に促されて降り立った駅もまた無人で、しかも降りたのは夏歩と津田の二人だけだった。

一体ここはどこなのかと駅名を確認してみるけれど、書かれているのは知らない名前。


「今度景色が楽しめるところに行こうって約束したでしょ」


夏歩は、そうだっただろうかとしばらく考えて、やがてそう言えば……と思い出す。
津田と二人で裕也の店にご飯を食べに行った帰りに、そんな会話をしたような気がする。


「思い出した?」

「……いや、て言うかあれは約束のうちに入らないでしょ」

「俺には充分約束だよ」


そう言って津田は、列車が通り過ぎたおかげでよく見えるようになった景色を満足げに眺める。その隣で夏歩は


(……いや、楽しむような景色がどこにある)


半ば呆然と、目の前に広がる田畑を眺めていた。



「なんにもない」

「うん、とりあえずなっちゃんは、今すぐ地元の人に謝って」
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