素直になれない夏の終わり

津田が指差す方を見て、夏歩はその反対側を指差して確認する。

津田が指していた方向は、線路を渡った田畑に続く道ではなく、駅舎の裏へと続いていく道の方だった。と言うか、その方向に道はあるのかとまず問いたい。


「大丈夫、こっちであってるよ。今日はほら、なっちゃんを景色が楽しめる場所に連れて行くって約束を果たしに来たわけだから。その為のピクニックだから。ってなわけで、こっち」


津田はヘラっと笑ってそう言って、夏歩が追いつくのを待ってから先に進む。

夏歩がこっちではないのかと指差した方向は、駅舎から緩やかなスロープが伸びていて、道なりに進めば歩行者用の遮断機があって線路を渡れるようになっている。

しかし津田が進んだ先にそんなものはなく、一体どうやって駅から出る気なのかと思ったら、ホームの端っこに裏へと続く階段が設置されていた。

その階段も駅舎同様中々に古く、塗装が禿げて錆び付いている。

誰かがぶち抜いたのか、それとも時間の経過でそうなったのか、下から二段目が片方だけ外枠から外れて斜めになっているのが何とも怖い。足を乗せたら、軒並み全部の段がそうなりそうだ。


「俺が先に行くから、なっちゃんは気をつけてついてきて。もし転びそうになったら、遠慮なく背中に飛び込んでいいからね」

「誰が飛び込むか」
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