素直になれない夏の終わり
「この先が、最終目的地だよ」
歩いている途中で、津田は夏歩を振り返ってそう言った。
始めは、道なんてあるのかと問いたくなるほど駅舎の裏は自然に溢れて見えたけれど、来てみると意外にも人の手が入ったと思しき道があって、難なく歩くことが出来た。
歩き始めてしばらくした頃から、ずっと上りなのが若干キツくなってくるけれど、緩やかなおかげで音をあげるほどでもない。
「この先に、何かあるの?」
何もなければ困るのだが、何かあるようにはとても思えないので、夏歩は問いかける。
また“着いてからのお楽しみ”と返ってくるかと思ったが、夏歩の予想に反して津田はしばらく迷った末に
「何かあるわけじゃないけど、何もないわけでもないよ」
まるで謎かけみたいなことを言って、一人で満足そうに笑った。
「……もっと具体的に言って。それじゃあ、何も言ってないのと変わらない」
「そう?じゃあ何も言わなかったってことでいいよ」
「津田くんがよくても私がよくない!」
「あとは、着いてからのお楽しみってことで」