素直になれない夏の終わり

夏歩も草花には詳しくないので、それが何の花なのかはわからない。どれも同じように見える木も、もしかしたらそれぞれ種類が違うのかもしれないけれど、それもわからない。

楽しめる人にはこの景色も充分に楽しいのだろうかとふと考えていると、いつの間にか津田に追いつかれて隣に並ばれた。

二人で並んで歩くには、道が少し狭い。

歩けないわけではないけれど、端に寄ればそれだけ自然に近くなるので、張り出した木の根や石に足を取られそうになって歩きづらい。


「並ばないでよ歩きづらい」


はっきりそう言ってやったら、「じゃあもっとぴったりくっついて歩こうよ。そしたら少しは歩きやすいよ」と返ってきた。

確かに、ぴったりくっついて歩いたら多少は狭さも軽減されるだろうけれど。


「嫌に決まってるでしょ。津田くんが後ろを歩けば済む話なんだから、後ろに行って」

「それこそ嫌だよ。だってなっちゃんが先頭だと競歩になるんだもん。俺はなっちゃんとゆっくり歩きながら目的地を目指したいの」


お互いに譲らないまま、並んで歩くには少し狭い道を、並んで歩く。

手を伸ばせば簡単に捕まえられるところに夏歩の手があって、時折指先がぶつかったりもするけれど、その度に夏歩が慌てて手を引くと、津田はそれを追いかけたりせず、ただ可笑しそうに笑った。



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