素直になれない夏の終わり
「大丈夫?なっちゃん。息が上がってるけど」
「……帰りも同じだけの距離を歩かなくちゃいけないのかと思うと、もうここで引き返したい」
「そんなこと言わずに頑張って、あとちょっとだから。それとも、おんぶしようか?」
並んで歩くには少し狭い道を、それでも二人並んで歩いていたはずなのに、気がついたらまた津田が先行していて、そのあとを夏歩が続く最初の形に戻っていた。
「……いい、いらない」
緩やかとは言え、ずっと上りはやはりキツイ。
いくら歩いても景色が変わらないので、津田の言う“あとちょっと”も大変怪しいものだけれど、ひとまず夏歩はその“あとちょっと”を心の中で唱えながら足を前に進める。
辛そうな夏歩を見かねてか、津田がさりげなく手を伸ばす。
ほんの少し迷ったけれど、結局夏歩はその手に捕まって、引っ張られるようにして残りの道を歩いた。
到着!と声がしたと同時に津田の手が離されて、ヘロヘロの夏歩は両手を膝に置いて俯く。
本当はその場にしゃがみこんでしまいたかったけれど、「なっちゃん、ほら」と津田が呼ぶから、仕方なく顔を上げてもう二、三歩足を前に出して隣に並ぶ。