素直になれない夏の終わり

「世界は狭いって言う人もいるけどね」

「確かにね。でもさ、世界は狭いって思うよりも、世界は広いんだって思ってた方がワクワクするよね。例えばなっちゃんとの出会いだって、世界は狭いから出会えたんだって思うより、こんな広い世界で出会えたんだって思った方が、気分が盛り上がる」

「……何それ」


勝手に気分を盛り上げないで欲しいのだが、言ったところできっと津田には届かないだろう。


「あとさ、高いところからこうして見下ろしてると、何かこう……王様気分というか、手中に収めてやったぞ!って気がしてきちゃうね」

「……それ、津田くんだけだと思う。あと、堂々と見下ろしてるならまだしも、こんなにひっそりとした場所から見下ろしてたんじゃ、手中に収めたって言うより逃げてきたって方が合ってる」

「ああ、なるほど。なっちゃんとの愛の逃避行」

「なんでそうなる!」


夏歩の抗議などお構いなしに、津田は「それはそれで中々ドラマチックだなあ……」なんて楽しそうに呟いている。
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