素直になれない夏の終わり
津田がまた静かになるのを待って、夏歩もせっかくなので津田のように深呼吸してみる。
空気の美味しさなんてわからないけれど、気持ちいいのはよくわかった。
今まで自分達の住んでいた街がそれほど都会だと思ったことはなかったけれど、ここに比べればずっと都会だ。
畑も田んぼないし、気分がのんびりするようなのどかさもない。どちらかと言うと、みんなどこかせかせかしている。
たまにはこんなのんびりした景色もいいな、なんて思いながらしばらく眺めていると、なんだか妙に視線を感じた。
確認するようにチラッと横目に見たら、やっぱり犯人は津田だった。
内心ため息をつきながら、夏歩は津田に向き直る。
「なに」
ぶっきらぼうに問いかけたら、津田は「いやあ、なんて言うか」なんて珍しく照れたように笑った。
「隣になっちゃんがいるという幸せを、改めて噛み締めてた」
津田が妙に恥ずかしそうに笑うものだから、伝染したようにこっちまで恥ずかしくなってきて、夏歩はサッと視線を逸らす。