素直になれない夏の終わり

「ああこの先はね、もっとずっと行くと、ほらここから見えるあの道路に出るんだよ」


津田が“ほら”と指差した方に、夏歩は視線を動かす。
それは割りと大きな道路で、先ほど車が走っていたのを夏歩も見ている。

今も何台か走っていて、その全てが軽トラックであるところに、夏歩は田舎らしさを感じずにはいられなかった。


「あとね、聞いたところによると、この先しばらく行くと分かれ道があるらしくて、真っ直ぐ行くと道路に出るけど、その分かれ道の方を行くと、また少し上りになるらしんだ。そこを行くと、神社があるんだって。今はもう使われてない神社で、なんと知る人ぞ知る心霊スポットであるとか……」


その瞬間、夏歩は聞かなければ良かったと激しく後悔した。


「行ってみる?」

「絶対に嫌だ。もう景色も堪能したし、なんなら今すぐ駅に戻って駅舎のベンチでお弁当食べたい」


口にしてみたら、それは案外いいアイディアなのではないかと思えた。

帰りの列車が何時に来るのか夏歩にはわからないけれど、駅舎にいれば乗り遅れることは絶対にない。
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