素直になれない夏の終わり

「なんとですね、そんななっちゃんのご要望に応える用意が出来ているのですよ」

「……そんな要望してないけどね」


じゃーん!と津田が得意げにリュックから取り出したのは、一杯ずつ小分けになったスティック状のインスタントココア。

なるほど、これを得意げに披露したいが為の“何を考えているか当ててあげる”だったのかと、夏歩は納得した。

それと同時に、意味のわからないことをしていないで普通に出せとも思った。

津田がリュックから取り出したのはもちろんスティック状のインスタントココアだけではなく、続けて紙コップと水筒、プラスチックスプーンまでも次々と取り出してシートの上に並べる。


「……一体そのリュックに水筒何個入ってるの」

「この水筒と、あとそこにあるお茶入りの水筒と、二つだけだよ。いやあ、でも結構重かった」


紙コップにスティックの封を切ってココアを入れた津田は、水筒から湯気の立つお湯を注いで、プラスチックスプーンでよくかき混ぜる。
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