素直になれない夏の終わり
「はい、なっちゃん。熱いと思うから気をつけて」
確かに熱い。受け取った紙コップからして既に熱い。
「ところでさ、水筒とかお弁当箱とか敷物とか、あと紙コップとかの細々したものも色々、もしかしてわざわざ買ったの?」
リュックから次々と取り出されるものが軒並み見覚えのないものばかりで気になっていたので、夏歩はココアが少し冷めるのを待つ間に問いかける。
「うん、買った。だって必要だったのになかったから」
津田からの返答は、それがどうかした?とでも言いたげだった。
「……あるものでなんとかすればよかったでしょ。わざわざ買わなくたって。たった一回のピクニックにどれだけお金かける気なのよ」
ここに持って来たものの中で、夏歩に覚えがあるのは雨具として持って来た折りたたみ傘だけだ。それは、間違いなく夏歩の私物である。
「じゃあせっかく買ったんだし、またお弁当持ってどこか行こうか。今度はもっと遠くの方に」
ヘラっと笑って言う津田に、なんだかまずいことを言ってしまったような気がしたけれど、既に後の祭りだ。
津田の中ではこれもまた、約束したうちに入ってしまっただろう。