素直になれない夏の終わり
後悔の念に苛まれながら、夏歩は立ち上る湯気に息を吹きかけて、紙コップに口を付ける。
濃くて甘い、大好きな香りと大好きな味。
夏歩がそれを堪能したところを見計らって、津田は弁当箱とスプーンを差し出した。
受け取った弁当箱の中身は、今朝も見た二色のそぼろ弁当。
そこに更に、敷物の上には別の弁当箱も置かれていて、津田が蓋を開けてみせると、中にはおかずが詰まっていた。
「はい、この紙コップはお茶を飲む時に使って。お茶の水筒はこれね。あとお手拭きも置いておくから。ゴミはこの袋に」
なんともまあ準備がいいと言うか、最早お母さんだ。
夏歩がお手拭きで手を拭いて、ゴミを指定された袋に入れているうちに、津田はセルフだったはずのお茶を紙コップに注いでいる。
そぼろ弁当を前に、いつもの流れで「いただきます」と夏歩が言えば、津田も笑顔でそれに続く。
たっぷりのそぼろを零さないようにゆっくりスプーンを差し込むと、ご飯の上にそぼろを二色とも綺麗に乗せて、口に運ぶ。
ほんのり甘い玉子のそぼろと、甘辛いひき肉のそぼろと、白いご飯とを一緒に噛み締める。