素直になれない夏の終わり

「そうだ、なっちゃん。今急にふっと高校の時の遠足のことを思い出したんだけどね」

「……なんでそんなことを急にふっと思い出すのよ」


その急にふっと思い出した高校の時の遠足の話で、ウインナーはタコかカニかそれともワニかという話は、津田の中から掻き消えたらしい。


「そんなことじゃないよ。なっちゃんと過ごした高校時代は、全部大事なメモリーだよ!」

「……なんで普通に思い出って言わないの」


夏歩の言葉は華麗にスルーして、津田は「それでね」と話を続ける。


「一年に一回遠足あったけど、なっちゃんとは一度も同じ班になれなかったでしょ。だから、こうして一緒にお弁当食べられることに、俺は今とても喜びを感じているって話」


嬉しそうな顔で何を言っているのかと、夏歩は怪訝そうに津田を見る。


「学校にいる時は一緒に食べてたでしょ。津田くんが無理やり私と美織のところにはまりに来たって言った方が正しいけど。それに、一年の時の炊事遠足は同じ班だった」


本来ならば名簿順で班が決まるところ、夏歩だけは強制的に津田と同じ班にされたのでよく覚えている。

当時、班分けに対して猛抗議した夏歩に向かって担任は、家庭科の教師にそうするよう強く勧められたのだと答えた。
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