素直になれない夏の終わり
確かに言っていない。言ってはいないけれど、仕事終わりに買い物に行くと言ったら、家から一番近い最寄りのスーパーだと思うだろう。
「わざわざここまで来る必要あった?買い物なら、いつものスーパーでもよかったでしょ」
そのいつものスーパーならば、徒歩で行けたというのに。
「たまには違うところで買い物してみたかったから」
そういうのは仕事終わりではなく休日のような時間のある日に、とは思ったけれど、毎度休日に連れまわされるのも困りものなので、夏歩は思っただけで言いはしなかった。
ウキウキした様子で自動ドアをくぐる津田に続いて夏歩もショッピングモールに足を踏み入れると、目の前にはフードコートがあって、いい匂いがそこかしこから漂ってくる。
「えっと……あっ、スーパーはあっちか。でもせっかくだから、こっちから見よう!」
津田から見てスーパーは左になるのだが、そちらはチラッと見ただけですぐさま右に視線を動かし、夏歩を促してそちらに向かって歩き出した。
そちら側には、服や雑貨や本など、色んなショップが並んでいる。
「ちょっと!夕飯の買い物に来たんでしょ。寄り道してる時間なんて」
「まあまあ、そう言わず。色々見ようよ。あっ、ほら!あのブラウスとか可愛いよ、なっちゃん」