素直になれない夏の終わり
しばらく無言で津田を睨みつけていた夏歩は、やがて椅子の背もたれに手をかけて後ろを振り返り、フードコート内の店をざっと見渡す。
ガッツリの食事メニュー以外の、軽食やおやつ向きのメニューが置いてあるところといったら、軽食とケーキの店、たこ焼きやたい焼きの店、ハンバーガーの店、アイスの店、ドーナツの店。
全国チェーンのドーナツ店とハンバーガー店には、お持ち帰り用として買い求めているお客が数人並んでいたが、その他の店は空いている。
何を食べたものかと夏歩が悩んでいると、津田が向かい側で「俺は、カレーパンにしよっと」と呟いた。
「……カレーパン?」
そんなものがどこにあるのかと、夏歩は怪訝な表情で津田の方を振り返る。
津田は、ほらと言うように、フードコート内ではなく、そこから通路を隔てた向こう側を指差した。
夏歩が示された方を見ると、そこにはパン屋があった。ATMの機械が三台ほど並んでいるスペースの隣が、パン屋だった。