素直になれない夏の終わり
「はい、揚げたてをどうぞー」
「……私、頂戴って言ったっけ?」
「まだだね。でも言う予定ではあったでしょ?だって揚げたてだよ」
そんな予定はなかったけれど、せっかくなので差し出された半分のカレーパンは受け取っておく。
すると津田は、何かを期待するような眼差しで夏歩を見つめた。
「……なに」
「なにって、それはほら、わかるでしょ?」
笑顔で夏歩を見つめていた津田の視線が、一瞬だけ下に落ちる。
まるで視線で誘導するようなその動きに、夏歩がついつられて視線を下に落とすと、あんぱんが目に入った。
「……寄越せってこと?」
「半分こしようってことだよ」
「何が違うのよ」
「全然違うよ」
鬱陶しい程に津田が笑顔で見つめてくるから、夏歩は根負けして仕方なくあんぱんを二つに割る。
「なっちゃんってさ、ほんとあんぱん好きだよね。高校の時もよく購買で買ってたでしょ」
「購買のあんぱん、美味しかったから」