素直になれない夏の終わり
「あの天むすはね、そうまでしても食べたくなるんだよね。一度食べたらハマっちゃうって言うか、戦っても勝ち取りたい味なんだよ」
「戦って勝ち取るって考え方がさ、全然現代的じゃないよね。いつの時代の人なの?」
言い終えたところで、夏歩はカレーパンを一口齧る。
外側の衣はザクザクで、熱いほどではないけれどしっかり温かくて、中のカレーはゴロっと角切りビーフが入ったピリ辛でとても美味しい。
「まあね、ちょっと原始的ではあったよね。でも、それもまた一つの醍醐味だったりするんだよ。戦って勝ち取るからこそより美味しい!みたいな」
「へー、そう」
全くもってよくわからない醍醐味なので、夏歩の返事には感情がこもらない。
それからしばらく、その天むすがどれほど美味しかったのかを語っていた津田は、やがて「あっ!」と声を上げて瞳を輝かせた。
「いいこと思いついた!ロールキャベツをシチューで煮よう」
さっきまで天むすの話をしていたはずなのに、話の流れが全く読めない夏歩は、キョトンとして固まった。
「考えてみたらさ、全然ありな組み合わせだよね。美味しそうじゃない?」
しばらく、夏歩は考える。