素直になれない夏の終わり

何を言われたのかわからなくてしばらく固まっていた夏歩は、やがてギギギっと音が鳴りそうなほど硬い動きで首を傾げる。そんな夏歩に向かって津田は


「シチューは素があるんだから簡単に作れるし、ロールキャベツだってひき肉をキャベツで巻くだけなんだから簡単だよ」


何を言っているんだこいつは、と思いつつ夏歩はそれに答える。


「出来る人には、出来ない人の気持ちがわからないんだよ。て言うか、突然の変な思い付きはやめて」

「大丈夫、なっちゃんはやれば出来る子だよ!」


高校の時の調理自習での失敗談を夏歩よりよく覚えているくせに、よくもそんなことが言えたものだ。


「久しぶりにさ、一緒に料理しようよ。きっと楽しいよ」

「楽しいと思えるのは、津田くんが作れる人だからであって――」

「教えるからさ!」


これはもう何を言っても覆せないやつだとわかったら、夏歩の口からため息が零れ落ちた。それもかなり盛大な、深々としたため息が。


「幸せ逃げちゃうよ?なっちゃん」

「うっさい!誰のせいだと思ってるのよ」



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