素直になれない夏の終わり
そう、ショッピングモール内のスーパーで買い物中、津田は確かにそう言った。
正確には、「俺がロールキャベツを作るから、なっちゃんはシチューを作ってよ。役割分担しよう」と。
「だからこれは津田くんがやるべきでしょ。私はシチューの担当なんだから」
言いながら夏歩は、目の前に置かれたひき肉入りのボウルをずいっと津田の方に押しやる。
津田はヘラっと笑って、なだめるように「まあまあ、なっちゃん」と言った。
「俺はほら、ロールキャベツの主役であるキャベツを茹でないといけないからさ。なにせ、“ロールキャベツの担当”だから」
津田の方に押しやったひき肉入りボウルが、再び夏歩の前に戻ってくる。
「ロールキャベツの担当を主張するなら、キャベツ茹でながら中身も作ればいいでしょ!」
いつも当たり前のようにコンロを二つ使いしているのだし、時にはそれにプラスして電子レンジを稼働させ、包丁まで使っているのだから、キャベツを茹でながらの肉だね作りなんて、津田には余裕のはずだ。それなのに津田ときたら
「キャベツってさ、こう見えて目が離せないんだよね。鍋から一瞬たりとも離れられないの。そういう手がかかるところ、なっちゃんにそっくりだよね」
そう言ってヘラっと笑うから、夏歩はそのわき腹に容赦なく肘を入れてやった。