素直になれない夏の終わり
まさかそんな攻撃を受けるとは思わなかったのだろう。津田は全く避けなかったから、夏歩の肘は綺麗に無防備なわき腹に突き刺さった。
「いっ!つぅ……。あっ……う、っく……いったぁ……」
わき腹を押さえて呻く津田に、思った以上に強く入ってしまったことを夏歩は知るけれど、知ったところで謝りはしない。
ただ、やりすぎたかな……とは多少なりとも思った。
「……と、りあえず……そう言うわけだから、よろしくね……なっちゃん」
ぎこちなく笑って、また痛みに顔を歪めた津田は、よろよろと鍋の前に立つ。
あまりにも津田が痛そうで、しかもその痛みの原因は自分にあるので、夏歩はこれ以上嫌だと突っぱねづらくなって、仕方なくボウルを片手で掴んだ。
「混ぜる。えっと……混ぜるんだから……」
ブツブツと呟きながら、夏歩は調理台の下の引き出しを開けて中を物色する。
「……何してるの?なっちゃん」
鍋の前に立って、視線だけ寄越した津田の問いかけに、夏歩は「混ぜるものを探してるの。ヘラ的な」と答えた。
確かこの辺りにあったはずだと引出し内をかき回しながら探していると、津田が「ああ」と言って鍋の前から夏歩のもとへ。