素直になれない夏の終わり
自分でチラッなんて効果音をつけて鍋の方を向いた津田は、目を離していた隙にいい具合に茹だっていたキャベツを鍋から取り出して水気を切る。
「ほら、なっちゃん、気合い入れて混ぜて。キャベツはもう準備おっけいだよ」
「……キャベツが終わったならあとは津田くんがやればいいのに」
「ここまで頑張ったのはなっちゃんなのに、俺がいいとこ取りなんてできないよ」
夏歩としては、全然気にしないからむしろあとは全部やって欲しいのだが。
それに、ここまで頑張ったと言われるほど頑張ってもいない。
ボウルの中身をぐにゅぐにゅと手でこね回していただけだ。正直、上手く混ざっているとも思えない。
それでもどうにかこうにか、高校の時のハンバーグ作りを思い出しながら肉だねを混ぜる夏歩の隣で、津田は玉ねぎを切ったまな板を綺麗に洗って、そこに茹でて水気を切ったキャベツを広げる。
「よし、なっちゃん。そろそろ巻いていこう。詰めすぎると破けちゃうけど、少なすぎると食べる時悲しくなるから、絶妙な量を入れてね」
「……なんでそういう難しいことを簡単に言うの」
“絶妙な量”なんて言われても、夏歩にはその絶妙さがわからないというのに。
面倒くさいけれど、スプーンで何杯分みたいに具体的に言われた方がまだいい。