素直になれない夏の終わり

「あの時先輩権限行使してでも、裕也にまかないがお給料替わりってことで納得させてよかった」


とてもいい笑顔でのその発言に、笑みの形に緩んでいた夏歩の口元が、ほんの少しだけ歪む。


「……えっと、先輩権限を、行使したの?裕也くんに」

「だって、断固拒否するから。みんなで裕也を囲って、先輩の命令は絶対だよね?って」


先輩達に取り囲まれてそんなことを言われたら、それがどんな言い方であったとしても、恐怖を覚えずにはいられないだろう。

もうとっくに過ぎたことではあるけれど、夏歩はその時の裕也を憐れに思った。


「そう言えば夏歩、ピクニックはどこに行ったんだっけ。山?」


突然移った話題に、夏歩は裕也のことを考えていたこともあって一瞬ついて行けずに、「ん?」と聞き返すように首を傾げる。

美織はもう一度、「ピクニック、どこに行ったの?」と問いかけた。


「ああ、えっと……なんて言うか……そうだな……緑がいっぱいの、のどかなところ……かな」

「……どこだって?」
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