素直になれない夏の終わり

これで伝わるわけがないことなんて夏歩だってわかっていたけれど、それ以外になんと説明したものかがわからなかった。

駅の裏手は確かに小高くなってはいたけれど山なわけではないし、町は景色として眺めただけで訪れてはいないので、田舎町に行ったとも言い難い。

仕方がないので夏歩は降り立った駅名を告げて、そこに行ったのだと伝えた。


「へえー、山とか海とか公園とかの有名どころじゃなくて、それどこなのよって言うマイナーな場所を選ぶ感じが津田っぽいわね」


美織は、驚きと感心とちょっぴりの皮肉交じりにそう言った。


「まあね。津田くんって、そういうところあるよね。修学旅行の自主見学の時もそうだった」


夏歩が同意してから口にした“修学旅行の自主見学”と言う言葉に、美織も思い出したように「ああ」と頷いた。


「京都に行った時ね。地元民しか知らなそうなお店に連れて行かれた時は、流石にあたしもビックリした」


行く前に立てた予定では、テレビで紹介されたこともある、京野菜を使った和食が食べられるというお店で昼食をとるはずだったのだが、思いのほかお店が混んでいてかなりの待ち時間を取られることに津田が異を唱え、急遽お店を変更することになったのだ。
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