素直になれない夏の終わり
その時、こんなこともあろうかと独自に別のお店を調べてあったらしい準備のいい津田に連れて行かれたのが、地元民しか知らないような、常連客で賑わっていて別の意味で一見さんは入りづらいような定食屋だった。
「当初の予定とはだいぶ違ったけど美味しかったし、何よりお安かったのが良かったわよね。おかげで買い物に回せるお金が増えたし」
確かに、その時は津田のおかげで時間を無駄にせずに済んだし、思いがけず昼食代が安く済んだので、お土産や自分用に使えるお金が増えた。
どこに連れて行かれるんだという不安や、有名どころのご飯が食べられなかった残念さはあったものの、概ねいいことの方が多かったとは言える。
高校時代の修学旅行も、そして先日のピクニックも、ショッピングモールからの夕飯作りも、結果的には楽しかった。
「まあ、ひとまずその話は楽しかったで締めるとして。そろそろどうなの。夏歩的に、何か心境の変化はあったりしないの?」
「……心境の、変化……?」
疑問符混じりに夏歩が繰り返すと、美織もまた「そう、心境の変化」と繰り返した。