素直になれない夏の終わり

軽く無視されているような気がしたので、このまま最後まで無視され続けるのかと思ったが、美織は夏歩が最も伝えたかった部分をちゃんと拾ってくれた。


「確かに私は、多少素直じゃないところがあるかもしれないけど、でも津田くんに対してはそういうことじゃなくて、全部事実と言うか、ほんとの気持ちであると言うか……」

「“多少”じゃなくて“だいぶ”だけど、そこはまあいいとしましょう。それよりなにより、夏歩は一番重要なところの認識を間違えてる」


一番重要なところとは、何のことか。首を傾げる夏歩を真っすぐ見て、美織は言った。


「夏歩が素直じゃない態度をとるのは、主に津田に対してであって、他の人の前ではそうでもないから」

「…………?」


それはつまりどういうことかと、夏歩は考える。

このまま考え続けると、行きついてはいけないところに行きついてしまいそうな気がしたけれど、それでも考える。

けれどお昼休みは、夏歩が答えを出すまで待ってはくれなかった。



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