素直になれない夏の終わり
家に帰ると今日も当たり前のように津田がいて、キッチンに立って夕飯の支度をしていた。
「あっ、なっちゃん。おかえりー」
「……え?……ああ、うん」
部屋のドアが開いた音で振り返った津田に向かって、夏歩はぼんやりと返事をする。
そのまま、ぼんやりとした足取りでベッドまで進むと、しばらく掛布団をジッと見つめ、それから思い出したように鞄を足元に落とした。
どうにも様子のおかしい夏歩を、津田はキッチンの方から気遣わしげに見やる。
そんな視線の先で、再びぼんやりと立ち尽くした夏歩は、またしても思い出したようにベッドの上に手を伸ばし、部屋着を掴んで振り返った。
そこで、自分を見ていた津田と目が合う、……こともなく、夏歩はぼんやりしたままドアに向かう。
「なっちゃん、どうかしたの……?」
その声に、ようやく夏歩は津田の方に視線を向ける。
目が合うと、気遣わしげな津田の表情に気が付いて、夏歩はようやくぼんやり状態から抜け出した。