素直になれない夏の終わり
「確かに夏歩は素直じゃない。素直じゃないけど、それが特に現れるのは津田の前、もしくは津田のことを話す時。他の人の時とは明らかに違う」
「……いや、でも……」
納得しがたいことなのでひとまず否定から入ったけれど、その後が続かない。
そんな夏歩に、美織はそれまでの真剣な表情をふっと和らげて言った。
「津田のことなんて好きじゃないって言いたいのはわかってる。既に何度も聞いたし。でもあたしには、そんな風には見えないから言ってるの」
まもなく、お昼休みが終わる。ロッカーにお弁当を片付けてそれぞれの部署に戻らなければならないのだが、美織は話しをここで中断しようとはしなかったし、夏歩も中断させることが出来なかった。
「夏歩、自分じゃ気付いてないんでしょうけど、津田と一緒にいる時、そんなに嫌そうな顔してないわよ。むしろ、嬉しいのを隠そうとしてるように見える。だから何かあるとすぐ睨んだり、つれない態度をとったりしているようにね」
「……それは……美織の、見間違いで……」
見間違い、そして勘違い。そんなことは絶対にないと言いたいのに、夏歩の言葉は徐々に力を失うように小さくなっていく。