素直になれない夏の終わり
無言の仏頂面で皿を空っぽにしたところで、夏歩は次にポテトグラタンの皿を引き寄せ、これもまた無言の仏頂面で口に運ぶ。
表面に焦げ目のついたチーズは、輪切りのじゃが芋に絡んでよく伸びる。
チーズの塩気と黒胡椒のピリッとした刺激に、自然とお酒が進んだ。
あっという間に一本空にすると、夏歩は視線だけで津田に二本目を要求する。
却下されるかと思ったが、「次はさっきみたいな飲み方は禁止だからね」と言いながら津田は立ち上がり、冷蔵庫から缶を二本取って戻ってくる。
一本は夏歩のチューハイで、今度のはグレープフルーツ。もう一本はビールで、津田は腰を下ろすなり一本目の残りを一気に飲み干すと、二本目のプルタブを開けた。
「……自分だってガブガブ水みたいに飲んでるじゃない」
睨みつけながら夏歩が訴えれば
「俺は、なっちゃんみたいに弱くないからいいの」
津田は事もなげに答える。
何とも腹立たしいが、事実ではあるので言い返せない。
ムスッと仏頂面で二本目のプルタブを開けた夏歩は、先ほどよりは幾分控えめに一口飲んだところで、缶に視線を落とす。
しばらくジッと見つめてから、顔を上げて津田を見た。