素直になれない夏の終わり

んー……、どっちなんだと言われても、どっちもとしか言いようがないかな。と津田が困ったように笑った。


「早く俺を彼氏にして欲しいのも本音、なっちゃんが俺をちゃんと受け入れてくれるのを待ちたいのも本音。どっちもほんとだから、俺だって時々どうしたいのかわからなくなるんだよ」


なにそれ……と返した夏歩に、「ほんと、なにそれーだよね」と津田は笑う。


「でも、なっちゃんのことを好きだって気持ちはよくわかってるから。それだけわかってたら充分かなーって」


ヘラっと笑う津田の顔から、夏歩は慌てて視線を逸らす。

この妙に胸がドキドキする感じは、きっとアルコールのせいだ。そうだ。そうに違いない――何度もそう言い聞かせ、夏歩はチューハイの缶をグイっと傾ける。

呆れたようなため息が聞こえた気がしたと思ったら、向かい側から伸びてきた津田の手が、夏歩の手ごと缶を掴んだ。


「なっちゃんはほんと、俺の言うこと聞いてくれないよね。その飲み方はダメだって言ってるでしょ。いい加減にしないと、禁酒命令出すからね」


掴まれた手が熱を帯びて、顔まで一気に熱くなるのを感じた。
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