素直になれない夏の終わり
既にスプーンはテーブルに用意されていたので、その前に持ってきた皿を置いて、夏歩はベッド側に腰を下ろす。
ほどなくしてお椀を二つ手にしてやって来た津田は、夏歩の向かい側に腰を下ろした。
「いただきます」
津田が言って、窺うように夏歩を見る。
渋々と夏歩も「いただきます……」と口にすれば、津田は「召し上がれ」と満足そうに笑った。
夏歩は白いご飯とルーの境目にスプーンを差し込んで、両方を丁度良く掬い上げて口に運ぶ。
ん、と思わず声が漏れて、次に「んん?」と疑問符がついて、最後には声もなく目を見張る。
そのカレーライスは、夏歩が知っているお家で食べるカレーとは、何かが違っていた。
「美味しい?」
夏歩の反応を見て、可笑しそうに笑いながら津田が問いかける。
「美味しいって言うか……なにこれ」
率直な感想を漏らしたら、「なにって、カレーだよ」と津田は答える。