素直になれない夏の終わり
「そうだけど、そうじゃないって言うか……。なんかこう……いつものカレーじゃない」
一体どんなお高いカレールーを使って作ったら、こんなにスパイス香る本格的な味に仕上がるのか。
もう一口食べて、うんやっぱり違うと確信して、それから更にもう一口。
「なっちゃんの言う、いつものカレーを俺は知らないけど、それは気に入ってくれたってことでいいんだよね」
スプーンが進んでいる様子の夏歩を嬉しそうに眺めて、津田もまた自分の分を口へと運ぶ。
うん、初めてにしては中々だね。との呟きに、夏歩はスプーンを止めて顔を上げた。
「……津田くん、カレー作ったことなかったの?」
だとしたら驚きだ。夏歩ですら、作ったことがある。美味しいか美味しくないかは別にしても。
「いや、あるよ。生まれて初めて一人で作った料理が、カレーだった」
それは、中々に思い出深い料理であると言える。
ちなみにその生まれて初めてがいくつの頃であるかは、怖いので聞かない。
「でもやっぱり、ルーから作るカレーは一味違う気がするね。手間はかかるけど、かけた甲斐があったと思える味だよ。何より、なっちゃんが気に入ってくれたしね。頑張って良かった」