【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
ただジッと美織を見つめて、胸をときめかせて。そんな穏やかな時間が、今の俺にはなにより心地いい。
そんな静かで甘いムードの中、ウエイターがスッと新しい皿を持ってきて短く告げる。
「こちら、デザートでございます」
「えっ……?」
置かれたのは、小さなケーキとフルーツが芸術的に盛られた既視感のある皿。
美織は戸惑ってウエイターを見上げたが、彼はその視線には気づかず、俺たちのテーブルを離れてしまった。
「デザート……私たちもう食べましたよね?」
困り顔で美織に問われ、俺も苦笑して頷く。どうやら先ほどのウエイターが、皿を運ぶテーブルを間違えたらしい。
「お店の方、呼びましょうか」
「……いいんじゃないか? 食べてしまえば。いつまでもデザートが来ない客に叱られて初めて、あのウエイターも自分のミスが身に染みるだろう」
「でも……」
「あとで、俺が責任者にスタッフの教育を徹底しろと言っておくよ。厳しくな」
美織は口を噤んで少し悩んだようだったが、やがてパッと顔を上げると言った。