【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「そ、そんな……間違って届いたデザートを遠慮したくらいで買いかぶりすぎですよ」

「別に、今だけのことじゃない。お前は銀行でも、自分で自分に胸を張れないような仕事はしないだろ? 真面目だと損をすることも多いかもしれないが、俺はそんなお前の生き方を尊敬しているんだ。婚約者として、誇りにも思う」

「尊さん……」

美織はうれしいような、それでいて切ないような微妙な表情できゅっと唇を噛み、それから聞こえるか聞こえないかの声でぽつりと言った。

「私……そんなふうに言ってもらえる女じゃないのに……」

なにか深い意味がありそうにも聞こえる言葉だったが、控えめな美織のことだからただ謙虚に振舞っているのだろう。俺はそう考え、特に気に留めなかった。

「お前がいくら自分を卑下しても、お前の魅力は俺が一番よく知っている。美織は俺にとって、最高の妻だよ」

諭すようにそう続ければ、美織は感極まったように涙を浮かべ、そのあと無理やりに笑みを浮かべると「……ありがとう」とかすれた涙声で言った。

俺の言葉でうれし泣きをするなんて、本当に可愛い美織。

今日は車の運転があるから酒を飲んでいないが、もしも酒が入っていたなら、レストランという場所にもかかわらず口づけていたかもしれないな。

そんな自分の無節操さに呆れ、俺は窓の外の夜景を眺めながら、人知れず笑みをこぼすのだった。

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