【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「尊……さん……?」
「……やっぱりここにいた。迎えに来たぞ、美織」
勝又さんの構える銃が自分に向けられているのに気づいているはずなのに、尊さんはいつもの不遜な態度でそう言った。
未だ状況が飲み込めずに声を発することができない私を放って、勝又さんが低い声で話し出す。
「……下にはうちの舎弟が何人かいたはずだが」
「さあ、いちいち数えてない。骨のない奴らばかりだったから」
尊さんがそう言って髪をかき上げると、額にはいくつもの汗が滲んでいた。
はじめは羽織っていたであろうスーツのジャケットもなく、腕まくりしたシャツにジレだけを身につけた彼は、スポーツでも終えたかのような清々しさだ。
武器を持っていた人もいたのに、素手で彼らを全員倒してここまで来たの……?
尊さんがあらゆる分野において完璧な人物だというのはわかっていたつもりだったけれど、格闘技まで会得しているなんて。
またひとつ彼のギャップを知り、こんな状況だというのに胸がときめく。
でも、尊さんはまだ、私が嘘をついていたことを知らない。迎えに来たとは言ってくれたけれど、その前に私の口からちゃんと真実を伝えないと。
そうは思うけれど、この一触即発の雰囲気の中で尊さんとゆっくり話すタイミングなんて……。