【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「よかったよ。……ここにもうひとつ隠しておいて」
さすがの尊さんもふたつ目の銃の登場は想定外だったようで眉間にしわを寄せた。勝又さんはそのまま尊さんに銃口を向け、そのままゆっくりと私のいるソファの方へ近づいてくる。
「……美織に手を出すな」
尊さんが怒りの滲んだ低い声を震わせた。しかし、勝又さんはそんな彼を嘲笑う。
「そうしてほしいんなら、それなりの代償ってものがいるだろう? 彼女の代わりに自分の命を差し出すとか、さ」
背後に回った勝又さんが、私の首に腕を回して羽交い絞めにする。そして、尊さんに向けていた銃を私のこめかみへと当てた。ひやりと固い感触に、背筋が凍り付く。
怖い……。けど、尊さんが私の代わりになるなんて、絶対にダメ……。
思わず潤んだ瞳で尊さんを見つめながら、首を横に振る。なのに、尊さんはふうっと息を吐くと、観念したように両手を上げてみせた。
「……わかった。その銃、俺に向けろ」
その瞳は静かな海のように澄んでいて、恐怖などまるで感じていないかのように凛としていた。けれど、そんな態度が私には逆に恐ろしく思えて。