【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~


「あなたは……」

「あ……銀行の……」

どうやら彼も私を覚えていたらしく、一瞬驚いた後で軽く笑みを浮かべてぺこりと会釈した。

この人、同じマンションの住人だったんだ……。支店長に対して凄んでいた彼を知っているので、なんとなく警戒しながら私も頭を下げた。

しかし、彼は私の警戒心に気づくことなく、あろうことか初心者の私のトレーニングに付き合ってくれるという。

私は悪いからと遠慮したけれど、彼は「いいからいいから」と強引に私に付き合ってくれる形になった。

「力はないけど柔軟性はすごいですね。学生時代になにかスポーツを?」

「中学まで水泳とバレエを」

「バレエか。もしかしてけっこうお嬢様?」

「……一般的な感覚でいうと、そういう家で育ったと思います」

「なるほど。銀行で会った時も思ったけど、なにげない所作に品があるわけだ」

トレーニング中に他愛のない話をしていると、昼間の男性とは別人だったんじゃないかと思えてくるほど彼は穏やかで優しい。

教え方もなかなか的確だったので、初めてのジムにしては効率的に運動することができたんじゃないかと思う。

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