その少女は夢を見る
連れて来られた部屋。
土方様が開けたかと思ったら、その中に僕の背を押し、入れる。
ぺしゃり、みたいな感じで落ちた(転んだ)んですけど顔に傷付いたらどうするのお年頃の女の子なんだけど(怒)
神羅〈その時は鬼の副長がお嫁さんにもらってくれるんじゃなーい?〉
他人事みたいに言うなよ、あんな鬼のような顔をした人が旦那様とか普通に考えて寿命縮むよ。
神羅〈あまりの扱いの雑さに流石に笑ったよね。〉
自称神の言葉を無視しながら起き上がり、前を向く。
沖田様がこっちを見ながら大爆笑している以外は、みんな不思議そうに僕を見ているんだけど。
とりあえず沖田様、ちょっくら面貸せください。
まあ返り討ちに遭うのは目に見えてるんですけどね!!(泣)
「この子が総司の言っていた怪しい…?」
なんて言うのは、どことなく優しそうな雰囲気を纏ったおじさん。
…多分この人が近藤勇なんだろうなぁ。
『怪しい子イメージにしくしくしたい桜宮ですこんにちわ。』
近藤「桜宮くん…で良いのかな?私は近藤勇だ。」
『おおお!本当に本物の近藤勇様ではございませんか!!僕は桜宮千雨と申します〜。』
なんてフレンドリーに挨拶をすれば、近藤さんは笑ってくれるが他の人は怪しい者を見る目で見てくる。
あっはは、僕結構その目嫌いだなあ?
近藤「そうかそうか桜宮くんか。して、桜宮くんはどうして新撰組を知っていたのかな?」
土方様とは違う優しい聞き方に、少しだけホッとする。
父親的雰囲気とはこのことを言うんだろうなぁ。
僕には幼い頃から父親なんて居なかった…だから何だかあたたかく感じる。
なんて思っても彼らに伝わるわけもなく、黙り込んだ怪しい奴でしかないんだろう。
『あの、よく知らない人達が居る状況で説明するのも何だか気が引けるので、自己紹介とかお願いしてもいいですか?』
そう聞けば、みんな訝しげに見てくる。
だからさー、
『…その目、やめろよ。』