一途な執事と甘いティータイム



「ねぇねぇ、菓乃ちゃん」



カバンから教科書類を出して机の中にしまっていると、声をかけられて顔を上げる。



確かこの子はクラスの中でもリーダー的な存在の……



「…どうしたの?」



「菓乃ちゃんってやっぱりSakuraの社長令嬢なの?」



もう変装もしていない。



今更誤魔化すこともできない。



「うん、そうだよ」



肯定の返事を返すしかない。



「そうなんだ!すごーい!!」



私の口からはっきりとそう伝えることでまわりにいた女子たちもキャーキャーと騒ぎ始める。



まるでモテモテのイケメン男子になった気分。



これで気分が良くなる人もいるんだろうけど、私にとってはこれが気持ち悪くて仕方がない。



吐き気がする。



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