一途な執事と甘いティータイム
徐々に私の方へと近づいてくる有嶋。
ソファーの背もたれに手をついて、私の逃げ場を塞ぐ。
「言ったじゃないですか。俺は菓乃のことが好きだって。だから、俺も菓乃と花火が見たい」
「……っ」
……有嶋もジンクスを信じているの?
「ちょ、ち、近いから!」
「菓乃が"見る"って言わないと離れない」
「なっ、」
見るって言わないとって……
離れてくれる条件1つしかないじゃん。
「じゃあ───」
すっかり黙り込んでしまう私を見兼ねたのか、ソファーから手を離して、私から離れていく有嶋。
真っ直ぐに私の瞳を見つめる有嶋にドクンと胸が音を立てる。
有嶋の瞳から目を逸らせない。
「花火、俺と見るか大河と見るか。菓乃が好きな方選んでよ」