一途な執事と甘いティータイム



「離してください!もう私戻らなきゃ行けないんです!」




多分もう休憩時間は終わってしまってる。



私が戻ってこないから、きっと美菜子は不思議に思っているはずだ。



お願いだから、早く私を返して。




「こんなにかわいー子見つけたのに俺たちがすぐに返すと思う?」



「俺たちとたくさん遊ぼうね」



「い、やっ……」




声が出ない。



人が本当に恐怖を感じた時は叫ぶことができないみたい。



誰か……誰でもいいから助けを呼ばないと。



声が出ないなら───



ポケットからスマホを取り出して1番上にある人のメッセージを開く。




「ちょっと何してるの?」



「電話なんかさせてあげないよ?」




着信を残すこともできなかった。



あと一歩。



ボタンを押すあと一歩のところでスマホを取り上げられてしまった。



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