一途な執事と甘いティータイム
「懐かしいね、この教室」
「ここってほとんど使われてないから人も来ないんだよねー」
2人の会話から推測するには、この学校の卒業生らしい。
ちょっとホコリの被った空き教室。
私もここには来たことがない。
ないどころか知らなかった。
お嬢様学校ではこんなナンパなんて全くなかった。
きっと社会事情で変なことはできないという空気があったのと、出入りをする時もしっかり警備員がいたから。
普通の公立高校は違う。
いろいろな人たちが遊びに来る。
中にはこんな人たちも。
「何してるの、早くここから出して」
「んー、出してあげてもいいけど俺たちといいことしてからね?」
怖い。
2人がゆっくり私との距離を詰めてくる。
ついに後ろにも下がれなくなり、背中に冷たい壁の温度が伝わってきた。
「助けてっ……」
「そんな声じゃ誰にも届かないよ?」
知らない男の人との距離はもう数センチ。
ゴツゴツした手で顎をクイッと持ち上げられ、合わせたくもない視線が合ってしまう。