一途な執事と甘いティータイム
***
「……んんっ」
随分と寝ていたような気がする。
もう朝?
いや、それにしては暗くてホコリっぽいような……
「目覚めました?」
「あり、しま?」
重い瞼を開けると、机や椅子が無造作に並ばられた教室と私を覗き込む有嶋の姿が見えた。
「あれ、私……」
思い出した。
休憩中にトイレに行って、出ようとしたら知らない人に捕まって、怖くて泣いていたら有嶋が……。
「痛いところはありませんか?」
「うん、大丈夫。腕を掴まれたくらいだったから」
有嶋があの時来てくれなかったら私は今頃どうなっていたかわからない。
本当に怖かった。
「その……ありがとう」
「菓乃お嬢様が素直なのってレアですね」
「もう言わないから」
せっかく感謝してたって言うのに。
素直にどういたしましてって言えばいいじゃない。
素直じゃないのはどっちよ。