一途な執事と甘いティータイム
「私は、有嶋の笑顔が……好き。昔も、今も」
桜宮家の執事として来る前は、薄暗い部屋できっとひとり寂しく過ごしていた有嶋。
そんな時に出会った私。
有嶋にとって私の存在がどこまで大きいのかはわからない。
でも、私が思うのはただ一つ。
「有嶋の笑顔をもっと近くで見てみたい」
あの時のように。
キラキラとした笑顔を。
「じゃあ、ずっと俺の隣にいて。俺は菓乃がいればそれだけでいい」
「……仕方ないから、いてあげるよ……あっ」
ドーンと心臓にまで響く大きな音を立てて、夜空を華やかに彩る花火。
室内にいても届いてくる。
「どこまでも可愛げ無いよな」
「うるさいっ、さっきの撤回するよ」
「それは許さない」
そんな私たちの会話をかき消すように打ち上がる無数の花火。
短い後夜祭の花火はきっともうすぐ終わる。