一途な執事と甘いティータイム



有名なブランド企業の社長がたくさん来ている。



中にはライバル企業も出席していて、無視も出来ない挨拶回りはお互いにピリピリとしていた。



「桜宮グループさんの先日出された新商品!あれは素晴らしかったですね。売れ行きも上々らしいじゃないですか」



「お陰様で。そちらのリップも来月発売とお聞きしましたよ。楽しみですね」



私も隣で「楽しみにしています」と付け加えて機嫌をとる。



あぁ、ずっと口角を上げっぱなしで頬がつりそう。



これだけ人がいると、中には「ドレスがお似合いですね」とお世辞でも褒めてくれるのは嬉しいけれど、明らかに変な目で見てくるおじさんもいる。



その視線を浴びるだけでも気持ちが悪い。



お父さんは機嫌をとるのに必死でその事には気が付かないし。



早く終われと何度も胸の中で叫んだ。



途中、飲み物や豪華な料理をつまみながら、挨拶回りは2時間も続き、終わる頃にはもうヘトヘトだった。



確かに可愛いけれど窮屈で、大河がデザインしたものだとなれば尚更早く脱ぎたい。



周りも挨拶回りが終わってきたようで、パーティーならではのイベントが始まった。



ステージに視線が集まる今、脱走計画に最適なタイミング。


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