一途な執事と甘いティータイム
「もしかして桜宮グループのお姫様?」
「お姫様……?」
その声はちょっぴり大河に似ていたけれど、少し大人っぽい声だった。
顔を上げてみると、私より背の高い男の子が立っていた。
「何してるの?」
「大夢くんと隠れんぼしてるの」
「そしたら迷子になっちゃったってことか。じゃあ僕が案内してあげるよ」
少し年上だろうその男の子は微笑みながら、私に手を伸ばしてくれた。
「戻るのはやだよ?見つかっちゃう……」
「大丈夫、案内するのは僕だけの秘密の場所だから」
男の子は意地悪な笑顔でそう言った。
この男の子が誰かもわからない。
危険な香りはするけれど、そんなことを感じることも無い当時の私は、"秘密"という言葉に誘われて、着いていくことにした。
男の子はさらに奥へと入っていく。
しばらく歩くと階段があって、地下へと降りていく。
「ここだよ」
そう言ってドアを開けてくれた。