一途な執事と甘いティータイム


──キィーッ



オイルが切れているのか、耳障りな音がする。



そんな不気味な音に恐怖を感じながらも中へ入り、右側に見つけた電気のスイッチを押してみた。



「ついた……ここ、懐かしい」



薄暗い電気がつき、中がよく見えた。



「あのソファーもベッドも机も……みんな変わらない」



遠い日の記憶。



家具の配置も全て同じだった。



ひとつ違うのは、あったはずの生活感がなくて全ての物がホコリをかぶっていること。



「さすがにお兄ちゃんはここに居ないか…」



きっとあの時、お兄ちゃんは本当にここに住んでいたのかもしれない。



上はあんなに綺麗で豪華なのになんでこんな所に……



見るからに今はここにはいないことがわかって、一体どこへ行ってしまったのかと気になった。



あの一度きり。



あのほんの少しの時間だけ。



それでも、楽しかったのだけは覚えてる。



また、会いたいな……。



ううん、今はそれどころじゃない。



きっとそろそろ上では私がいなくなったことがバレ始めているかもしれない。



早くここから脱出しないと。


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