明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「ひとりで産むということはわけあり、か。お前、いいところの出だろう?」
「えっ……」
鋭い指摘に目が泳ぐ。
「先ほどから所作が美しい。昨日今日しつけられたものじゃない。反対されたのか?」
「……はい」
観念して正直に答えると、彼は小さなため息をつく。
「男は?」
「彼は私の妊娠を知りません」
「馬鹿な。妻でもいるのか?」
「いません」
信吾さんはそんな人じゃない。恒さんとは違う。
そう思ったら、声が大きくなっていた。
「言えない理由があるのか?」
「……はい」
父が犯した罪は告白できない。
軍なら警察にも近いだろう。
知られてはまずい。
「心底惚れているようだな。わかった。もう聞かないでおく」
それから家もないことを話すと、近所に空いていた古い民家を借りられることになり、とんとん拍子で事が運んだ。
犯されそうになったときは怖かったが、いきなりいい人と巡り合えたようだ。